【専門家監修】高齢者の筋力低下どうすればいい?│70~80代の親の健康を守るための予防と対策
- hiromufitness
- 10月28日
- 読了時間: 10分

「最近、親の足腰が弱ってきた気がする…」
「椅子から立ち上がるのに時間がかかる」
「すぐ疲れて外出を避けるようになった」
70代・80代とご高齢になると、このような姿を見て不安に感じる子ども世代は少なくありません。
高齢者の筋力低下は、自然な老化現象の一部ではありますが、放置してしまうと転倒・骨折・寝たきりといったリスクを高め、健康寿命(自立した生活)を大きく縮めてしまう恐れがあります。
実際、厚生労働省の調査でも「75歳以上の約半数が日常生活に支障を感じている」と報告されており、筋力低下は単なる「年齢のせい」では片づけられない、誰にとっても避けられない大きなテーマです。
しかしご安心ください。
正しい運動や食事を取り入れることで、筋力は維持・改善が可能です。
「もう年だから仕方ない」と諦める必要はありません。
本記事では、大阪市で高齢者向けの出張/訪問トレーニングを行っている専門家の視点から
高齢者の筋力がどのくらい衰えるのか
筋力低下が招く危険性
今日からできる予防/改善の方法(運動/食事)
これらをわかりやすく解説します。
高齢者の筋力はどのくらい衰えるのか?

人間の筋力は、20代をピークに少しずつ低下していきます。
加齢による筋力低下のスピードは思っている以上に速く、特に下半身の大きな筋肉(太もも・お尻・ふくらはぎ)が大きく影響を受けます。
【30代~40代】 ほとんど自覚症状なし
【50代~60代】 階段の上り下りがしんどいなど、少しずつ衰えを実感する
【70代~80代】 20代と比べると、筋力は半分以下に低下すると報告されています
特に太ももの筋肉(大腿四頭筋)は、70代以降になると20代の約30~40%まで落ち込むというデータもあります。
日常生活に表れる「筋力低下のサイン」
身体の衰えは少しずつ進むため気づきにくいですが、日常生活の中に筋力低下のサインが隠れています。
歩く速度が遅くなってきた(信号を渡り切れないなど)
椅子から立ち上がるのに、時間が掛かる様になった
少し歩いただけで足や腰がしんどくなる
小さな段差や何もないところでつまずく
こうした変化は「年齢だから仕方ない」と思いがちですが、実際には筋力低下の大きなサインです。
特に70代/80代のご両親を持つ、子ども世代がこうした様子に気づいたら、早めの対策を考えることが大切です。
筋肉量と寿命の関係

近年では「筋肉は長寿の鍵」とも言われています。
米国医師会が発表した研究(JAMA Internal Medicine, 2018)によると、筋肉量が少ない高齢者ほど死亡リスクが高いことが示されています。
つまり筋肉を保つことは、転倒防止や自立の維持だけでなく、寿命そのものにも関わる重要な要素なのです。
放置すると「フレイル」へ

医学的には、筋力や活動量が低下し、健康と要介護(介護が必要な状態)の中間状態になることをフレイル(虚弱)と呼びます。
フレイルが進行すると、転倒・骨折・寝たきりといった深刻な状態に結びつくため、早めの対策が重要です。
この先の章では、フレイルを防ぐために今日からできる運動・食事の具体的な対策をお伝えしていきます。
70代~80代の高齢者の筋力低下を改善する運動

筋力低下は「もう年だから仕方ない」と諦める必要はありません。実際に90歳でも正しい方法を取り入れれば筋力が向上することが研究で示されています。
適切な運動を少しずつ取り入れることで、足腰の筋肉は70代・80代からでも十分に強くすることができます。
運動を始める前の注意点
高齢者の運動は効果がある一方で、無理をすると転倒やケガにつながる恐れもあります。
以下の点に注意して始めましょう。
必ず安全を確保する →椅子や壁につかまり、転倒しない環境で行うこと。
痛みが出たら中止する →膝や腰に強い痛みがある場合はすぐにやめる。筋肉の軽い疲労感はOKですが、関節の鋭い痛みは危険信号です。
少ない回数から始める →最初は5回程度から。慣れてきたら10回、15回と徐々に増やす。
持病や服薬がある場合は医師に相談 →心臓病や高血圧、整形外科的な持病がある場合は、医師に確認してから行うのが安心です。
70代~80代におすすめの運動6選
①SLR(ストレートレッグレイズ)
【効果】
股関節の前側の筋肉(腸腰筋)を強化します。歩行時に足を上げやすくする効果があります。
【やり方】
①マットに仰向けになり、左の膝を立てる。
運動を行う右足を伸ばしておきます。

②息を吐きながら、右足を90度付近まで2秒かけて持ち上げる。
次は息を吸いながら、2秒かけて足を下ろします。

【回数の目安】
片足10回を目安に行います。
余裕が出てきたら20回に増やす、又はアンクルウェイトを装着してチャレンジ
②ヒップリフト
【効果】
お尻(大殿筋)~太もも裏(ハムストリングス)の筋力を強化し、歩行時の推進力(前に進む力)を作ります。
【やり方】
①マットに仰向けに寝そべり、膝を立てる。
踵とお尻の距離は1足分空けておく(足のサイズ25㎝の人なら、約25㎝の間隔)

②足の裏全体、又は踵側で踏ん張りながらお尻を持ち上げる。
※肩から膝が一直線まで。腰が痛い方は細心の注意を払う。

【回数の目安】
10回を目安に行います。
余裕が出てきたら20回に増やす、又は膝にチューブバンドを装着してお尻の筋肉を活性化させる。
③ヒップアブダクション
【効果】
お尻の横側の筋肉(中殿筋)を強化し、骨盤の安定感を作ります。
歩行時の横揺れやふらつきを防ぐ効果があります。
【やり方】
①マットに横向けに寝そべり、地面に付いている足を軽く曲げ身体のバランスを取る。
(腕は頬杖を付く、上半身を固定する形にする:写真を参考にして下さい)

②伸ばしている上の足を垂直に持ち上げ、お尻の横の筋肉を刺激していきます。

③持ち上げる足が前後にブレない様に注意して下さい。
(真っ直ぐに持ち上げる練習が股関節の小さな筋肉を刺激します)

【回数の目安】
片足10回を目安に行います。
余裕が出てきたら20回に増やす、又はアンクルウェイトを装着してチャレンジ
④レッグエクステンション
【効果】
太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)を強化し、歩行時の膝の安定性を高め、衝撃吸収の役割を果たし膝痛の緩和に働きます。
【やり方】
①椅子に腰を掛けて、背筋を伸ばした姿勢がスタートポジション

②息を吐きながら片膝を伸ばし、伸ばした位置で1秒キープしゆっくりと初めの姿勢に戻します。

③背筋が丸まると効果が半減するので注意が必要です。 (猫背姿勢が強い方も極力背中を伸ばす)

【回数の目安】
片足10回を目安に行います。
余裕が出てきたら20回に増やす、又はアンクルウェイトを装着してチャレンジ
⑤椅子スクワット
【効果】
太もも周り、股関節周りの筋肉を全体的に強化する。
また、股関節/膝関節/足関節の複数の関節を一緒に動かすので身体の連動性を高め、歩行力UP・認知機能の向上にも働く。
【やり方】
①椅子に浅く腰を掛けて、膝が90度よりも深く曲がる様に座る。(膝のラインよりもつま先が後ろになる様に)
足幅は肩幅の広さ、又は肩幅1.5倍の広さに開く。

②背筋を伸ばしたままお辞儀をして、足に体重を乗せる。
(ここで足にしっかりと体重が乗っていないと、立ち上がった際に後ろに転倒の恐れ)

③そのまま、椅子からお尻を浮かせて立ち上がる。
(後ろにバランスを崩してしまう場合は、前で軽く手を引いてあげてもOK)

【回数の目安】
10回を目安に行います。
余裕が出てきたら20回に増やしてチャレンジ
⑥カーフレイズ
【効果】
ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)を強化し、重心の安定や歩行時の推進力を作ることに働きます。
【やり方】
①椅子の背もたれや壁に手を添え立ちます。
(バランスを崩しても安全な物に手を添えて下さい)

②つま先立ちをするように踵を持ち上げ、下ろします。

③母指球(親指の付け根)と小指球(小指の付け根)の足の指の全体を使って踏ん張る。

【回数の目安】
片足10回を目安に行います。
余裕が出てきたら20回に増やす、又は片足だけで10回チャレンジ
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高齢者の筋力低下を防ぐための食事の工夫

筋肉をつくるのは運動だけではありません。正しい食事で栄養を補うことが、筋力維持には欠かせません。
高齢になると「食が細くなる」「たんぱく質が不足する」ことが多く、筋肉が作られにくい状態に陥りやすくなります。
そのため、運動と同じくらい食事の工夫が重要になります。
高齢者に特に大切な栄養素

たんぱく質 筋肉の材料となる栄養素。 魚・肉・卵・大豆製品などを毎食少しずつ意識しましょう [目安]体重1kgあたり約1.0g(60kgの方なら約60g/日)
ビタミンD 筋力低下や骨粗しょう症予防に役立ちます。 鮭・サンマ・きのこ類に多く含まれ、日光を浴びることでも合成されます。
カルシウム 骨を丈夫に保ち、転倒・骨折を防ぎます。 牛乳・ヨーグルト・小魚・小松菜などがおすすめです。
オメガ3脂肪酸 炎症を抑え、関節や血管の健康を守る栄養素。 青魚(イワシ・サバ)や亜麻仁油などから摂取できます。
高齢者でも食べやすい工夫をしよう

加齢とともに「食が細くなる」「硬いものが食べにくい」といった変化が起こります。
その結果、筋肉の材料となる栄養素が不足し、筋力低下が進んでしまうこともあります。ここでは高齢者でも取り入れやすい食事の工夫を紹介します。
①食が細い場合は消化にやさしい食品を選ぶ
豆腐・卵・ヨーグルトなど、消化が良く食べやすい食品を中心に取り入れると安心です。
➤たんぱく質は筋肉を作るのに欠かせない栄養素ですが、食べても吸収されなければ意味がありません。
便通や胃腸の調子も確認しながら進めましょう。
②少量を複数回に分けて食べる
一度にたくさん食べられなくても、3食にこだわらず間食を上手に取り入れて「少量を何回かに分けて」摂ることがおすすめです。
➤高齢者は一度の消化吸収力が落ちやすいため、こまめに摂る方が効率的に栄養を吸収できます。
③調理の手間を減らす工夫をする
缶詰やナッツ、チーズなど、調理不要でそのまま食べられる食品を活用すると無理なく続けられます。
➤高齢者にとって「準備の手間が少ない」ことは継続のカギになります。
④冷凍宅食サービスを活用する
近年は「管理栄養士が栄養バランスを考えた」冷凍の宅配弁当サービスも充実しています。レンジで温めるだけで主菜・副菜が揃い、栄養管理と調理の負担軽減を同時に実現できます。
➡体力も落ちてきて、買い物や調理意欲が落ちている方におすすめです。
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高齢者の筋力を守る改善案のまとめ

70代~80代と年齢を重ねると筋力低下は、誰にでも起こる自然な変化です。
しかし「もう年だから仕方ない」と放置してしまうと、転倒や骨折、寝たきりにつながり、健康寿命を大きく縮めてしまう恐れがあります。
一方で、正しい運動と食事を少しずつ取り入れることで、70代~80代からでも筋力は十分に改善可能です。
高齢になった両親の「元気に歩ける」「無理なく立ち上がれる」といった当たり前の日常を守ることは、親子ともに安心に繋がります。
「運動を1人で続けられるか心配」
「効果的で正しい方法を教えてほしい」
こういった場合には、専門家のサポートを取り入れる事をおすすめします。
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